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エポペ航行日誌
聖人になる教皇、ヨハネ二十三世とヨハネ・パウロ二世
2013-07-22-Mon  CATEGORY: キリスト教


エポペには遠藤周作先生以外にもさまざまな文人が訪れてくださいました(たまにゴールデン街に連れて行っていただいたり…)。

その中の一人、小坂井澄先生はキリスト教関連の数多くのノンフィクションをお書きになっている作家です。

そこでこのたび、教皇ヨハネ二十三世がヨハネ・パウロ二世とともに信仰の模範である聖人と認定されましたので、この機会にご紹介したいのがこの一冊です。

小坂井澄著『法王の座 ヨハネ23世・激動の20世紀』(徳間書店)

教皇ヨハネ二十三世は、プロテスタントとの一致、諸宗教との対話、信教の自由など、教会の現代化を打ち出した第二バチカン公会議を開催した人として知られています。

そして人間的にも包容力のある素晴らしい方だったことが今でも語り継がれています(現教皇フランシスコのように)。

この書籍は、とにかく分厚いので、手にされると身構えてしまうかもしれませんが、実際は非常に読みやすい筆致で飽きさせない内容となっています。

あの有名なキューバ危機の際には、ソ連のフルシチョフと米国のケネディ大統領の間を取り持って、核ミサイルによる一触即発の事態を回避するために、非常に重要な役割を果たしたことをご存じの方も多いかもしれません。

酷暑が続く毎日ですが、この夏休みの機会に、その裏面史を垣間見られては如何でしょうか。

ちなみに、文庫版の『回勅 パーチェム・イン・テリス――地上の平和』が新訳で刊行されました。南山大学教授のシーゲル師の翻訳でとても読みやすくなっています。

むしろ、翻訳上の課題を詳らかにしている「訳者あとがき」や、現代から見ると突っ込める点を指摘しているイエズス会のホアン・マシア師の「解説」の方が、とても興味深いとおっしゃる方もおられることでしょう。

いずれにせよ、以下の引用の通り、実は五十年も経っている内容とは全く思えない、まさに世界の政治を動かした文書「回勅」です。価格もお手頃ですので、どうぞ併せてご覧になってみてください。

さらに聖人とは何か、そもそも教皇や回勅とは…などなど、お気軽なご質問については今週末の土曜日(7月27日)の「エポペの集い」(エポペのHP参照)でどうぞ!


「四 個人および政治共同体と世界共同体との関係

 政治共同体間の相互依存

68 科学と技術の近年の発展は、人間に深い影響を及ぼし、相互協力を奨励し、世界規模での統一された共同体を形成するようにと人間を方向づけています。 今日では思想や人間の交流ならびに物の流通が、すすます顕著な現象となっています。さまざまな政治共同体の市民、家族、および中間団体の間の関係が広がり、深まっています。政治共同体の政府当局間の関係もそうです。同時に、それぞれの国の経済は、ますます、他国の経済に依存するようになっています。各国の経済は、徐々に結合し、唯一の世界経済を構成する部分となっています。そして、各政治共同体内の社会的発展、秩序、安全保障、そして安定は、他の政治共同体のそれらと必然的に結ばれています。

 どの政治共同体も、孤立してその利権を追及することで正常な発展を遂げることは、もはやできなくなっています。各政治共同体の発展と繁栄は、他のすべての政治共同体の繁栄と発展から生まれ、同時にそれは他国の繁栄と発展の要因でもあるのです」(教皇ヨハネ二十三世『回勅 パーチェム・イン・テリス――地上の平和』(マイケル・シーゲル訳/司教協議会社会司教委員会・監修/カトリック中央協議会)

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