今年私は47回目の日本のクリスマスを迎えています。昔に比べて最近のクリスマスはやや変わっていて、少々控えめになったかなと感じます。電気の節約のために、イルミネーションが減ったというためだけではないようです。日本国民の一般の人にとって、クリスマスそのものの新鮮味が薄くなってきたからかも知れません。
町にはサンタクロースが増えすぎて、子供でさえ関心がなくなったようです。今日はあるデパートの入り口の前で、サンタクロースの格好をしている犬を見かけました。Christmasは人間だけではなく、動物の祭りに広がりつつあります! イエスが生まれた馬小屋には、牛やロバや羊、動物がたくさんいたので犬のサンタクロースがいてもいいではないかと思いました。
Christmasの過ごし方も変わってきました。最近の調査によれば昔のクリスマスの時には旅行をしたり、レストランに出かけたりするなど、外出をすることが多かったそうですが、今は家で家族と一緒に過ごして楽しむ人が多くなったのだそうです。家族回帰という傾向のしるしの一つでしょう。Christmasを静かに過ごすことはChristmasらしい過ごし方で、いい現象だと思います。Christmasは昔ほど派手ではなく変わったとしてもその人気が衰えず、教会に所属する人の祭りだけではなく、その喜びが全世界の人々や生き物に共有されているのは、本当に嬉しいことだと感じまします。
エポペとつながる私たちはネラン神父のはじめた習慣を引き継ぎ、街のレストランに集まり、クリスマスをお祝いしています。ネラン神父の考えでは、キリスト教が知られていない日本の社会の中にあって、敷居が高い教会のお御堂よりも一般大衆の中でクリスマスをお祝いするのがふさわしく、福音宣教の場ともなるという考えでした。今日、私たちの目的はご馳走をたらふく食べることだけではなく、クリスマスのミサやその後の食事を通して交流をしながらイエスの誕生の喜びを分かち合うことです。
私たちにとってChristmasは気分やムードだけでもなく、クリスマスの物語の甘い夢、おとぎ話、子供向きの童話のようなものでもありません。クリスマスを通して大事なメッセージが私たちに向けられています。それは神が私たちの歴史に関わり、私たちの生活、家庭、職場、地域社会にお入りになり、人間の喜びや悲しみを背負い、私たちと共におられるということです。
今晩私たちはこのメッセージの光に照らし合わせて、今年の出来事を思い出しながら世界の様々な現実を振り返ることにしたいと思います。その中にローマで開催されたシノドスのテーマとなった現代の家庭の現実が浮かび上がってきます。先ほどの聖書朗読の箇所から、イエスの家庭に起こった具体的な出来事を聞きました。イエスのご両親、ヨセフとマリア、このお二人は人形ではなくリアルなお父さんとお母さんでした。全てのお父さんとお母さんのように一人の赤ん坊の命の誕生を喜んで迎え入れ、大事に守ろうとしていました。
しかし、宿の部屋が断られたり、生まれた直後に迫害を逃れてエジプトという遠い国に避難したりしなければなりませんでした。正式に結婚していなかったヨセフとマリアの家庭はさまざまな差別を受けながら、自分の子はどうなるか、この子の上にある神の計画はなかなか理解できませんでした。イエスが生まれて2000年が経った今年も色々な危機にさらされている家庭の姿が浮かんできます。シリアから逃げて長い旅を強いられていて、家がなく彷徨っている難民の家庭。さまざまな分裂や離婚などのために壊れて増加する、いわゆる再構成家庭、親と一緒に住めない子供の家庭など。
教皇フランシスコはこのような家庭を差別の目で見るのではなく、私たちが家庭の苦しみをもっと温かく顧みて、受け入れる必要性を唱えました。今晩、明日の事はよく見えてこない多くの親は、Christmasの慰めを感じて、マリアとヨセフのように信仰の恵みが与えられて、神様のみ旨を受け取り、家庭の行方を神様に委ねて、救いを感じ取ることができますように祈りたいと思います。
クリスマスはマリアとヨセフだけではありません。周りに野宿して番をする羊飼いの姿も私たちの目に浮かんでいます。彼らは決しておとぎ話の人物ではありません。当時、彼らはユダヤ人社会から差別され、生活の安定がなく、最も貧しい人々で、神に頼る以外に生きる方法がありませんでした。財産も立場もない彼らは、一番早めに主の誕生に気がついて、飼い葉桶で生まれた救い主を迎えています。彼らの姿を通して、格差社会に取り残されていて、仕事の安定も生活の保証もないホームレスの方々、あるいは大勢の不定期労働の若者たちの姿が浮かんできます。三年前を思い出しますが、東日本大震災が起こり、私が釜石で支援の拠点作りに協力した時に、一番早くボランテイアの募集に応じたのはこうした若者でした。
救い主のイエスが、もしも2000年前のイスラエルという国ではなく、今日の東京にお生まれになっていたなら、どういうことになったでしょうか。想像ですが、年の瀬で、東京のホテルが満杯で部屋を取れないため、ヨゼフは大工の仕事の関係を通じて、仲間から寄せ場を紹介してもらって、マリアを山谷に連れていき、イエスは路上で生まれたと仮定します。きっとそこに野宿しているホームレスのおじさんたちは、大喜びでイエスの誕生をお祝いしたのではなかったかと思います。そしてクリスマスの祭りで忙しい教会の私たちは、この子の誕生に気づいていなかったということかもしれません。
そうです。イエスの誕生という出来事と関係している人物は決してフィクションの人物ではありません。出来事の背景にローマ帝国軍の侵略、子供の虐殺を命令し、テロ行為を繰り返すヘロデ王の姿があります。彼らの動きを通して今日の帝国の支配、世界中起こっているテロ事件の現実が目に浮かんでくるものです。紛争やテロの犠牲となる多数の難民、独裁者政権の弾圧を受ける民衆の姿などが浮かんできます。
それと同時に暴力や戦争に反対し、平和の憲法を守ろうとする日本市民の平和への訴えが聞こえてくるような気がします。今日、天使たちは「神の心にかなう善意を持っている人々に平和」と唱えています!
今年は戦後70年を振り返って、1年間ほど平和のことについて反省が行われ、憲法の9条を守ろうとする声が全国中で湧き上がっていました。今再びテロが広がり、セキュリティの名の下に多くの国が国境を閉ざし、武装化を高めていこうとしています。こんな時だからこそ、きょう誕生する無防備の幼い子がもたらす平和を受け入れ、互いにゆるし合い、互いに支え合い、心が一つとなることを祈りたいと思います。
(オリビエ・シェガレ神父 パリミッション日本管区管区長 2015年12月23日)
今回のエポペのチャリティ・クリスマスにご招待したネラン神父のお兄さん夫婦のお孫さん、ネラン君の家族と日本との長年の結び付きを物語るエピソードの一つ。彼の祖父と祖母がフランスから日本に初めて来られたときのお話です。ネラン神父自身の言葉からご紹介いたします。皆さまのお越しをお待ちしております!
●第36回エポペのクリスマスのご案内
エポペの歴史の中にはこんなビッグ・イベントもあった。
昭和五十七年十二月で私が日本に釆てからまる三十年たった。百瀬洌氏のリーダーシップでエポペのお客たちが私の日本滞在三十周年を祝ってくれることになった。
その会は昭和五十八年二月十六日、真生会館で二百五十人もの人が集まって開かれた。たいへんな盛況だった。
いっぱんに、こういう会の場合、そのパーティーの主賓にプレゼントが贈られることになっている。私は、パーティーの始まる前に、思いがけないプレゼントを贈るから、と聞かされた。思いがけないプレゼントとはいったい何だろう。着る物とか飲み物とかではあるまい。まるで想像がつかない。思いがけないというのだからどうせわかるはずがない。前もってあれこれ考えるのはよした。
パーティーの出席者が全員揃ったとき、司会者が、私に壁の方を向くように命じた。私はそれに従った。一分ぐらいたって、こちらを向いてくれと言われた。そうしたら……、私の前に兄夫婦が立っていた。
一瞬、夢をみているのではないかと思った。全く思いがけないプレゼントだった。兄は本来出不精なのだ。今まで何回も日本へ見物に来るように誘ったが、言葉が通じないとかなんとか言って腰を上げようとしなかった。それが、今、エポペのお客に招待されて私の前にいる。
私にとってこの思いがけないプレゼントは本当に何よりの贈り物だった。この思いがけない兄弟の出会いはニュースとしていくつかの新聞や雑誌に取り上げられもした。
後で、いろんな人から「本当はあなたは知っていたのでしょう」と言われた。いや、私は本当に知らなかった。この秘密は最後まで洩れなかった。日本人は秘密を守ることにおいて実にみごとだ。
(G・ネラン著『おバカさんの自叙伝半分―聖書片手にニッポン40年間』講談社文庫より)
●第36回エポペ・クリスマス降誕ミサ&チャリティパーティー2015を開催
――ネラン家のお孫さんとご一緒に!
皆さまお元気ですか! あっという間にクリスマスですね。
一年間頑張ってきたご自分へのご褒美として、楽しいクリスマスをご一緒にお祝いしませんか。
かつてサプライズで日本に来られたネラン神父のお兄さん夫妻がおられましたが、現在、そのお二人の孫にあたるネラン君がフランスから学生として来日研修中です。そこで今回は、このネラン神父の直系ともいえる ネラン君を特別にお招きしました。(どんな青年なのか今から楽しみですね~!)
また、今年も司式をしていただくシェガレ神父は、ネラン神父の後を引き継いで真生会館の館長を務めた方。パリミッション(宣教会)日本管区の管区長でもある気さくで素敵なフランス人司祭です。
ちなみに、このパリミッションは今から150年前に、『フランス寺』でプティジャン神父が長崎の信徒を約220年ぶりに発見して世界的に有名になった会。いわばその所縁の末裔の方々とご一緒にクリスマスをお祝いいたします♪
教会は敷居が高いと思っておられる方、はじめての方やお一人でも、またご友人やご家族とご一緒の方も、どうぞ安心しておこしください。
スタッフ一同、クリスマスのお料理やお飲み物をたくさんご用意して、こころよりお待ち申し上げております。
(エポペから生まれたNGO・HINTで21年間支援を続けていたアフリカ・コンゴ民主共和国の奨学生が医師になって今年は1年目、同様にベトナム人シスターで医師になった方が早3年目です。皆さまのご支援に深く感謝し、それぞれの現地のご報告もいたします。)
日時:2015年12月23日(水・祝) 17:30 開場
降誕ミサ:18:00~19:00(司式:オリビエ・シェガレ神父)
チャリティパーティー:19:00~21:00
会費:7,000円(美味しいワインなど飲み放題・未就学児無料)
場所:「タントタント」渋谷東急本店8階
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
JR・京王・地下鉄線「渋谷駅」(送迎バス有)
お問い合わせ:エポペ・チャリティクリスマス実行委員会
★「お問い合わせ」からお申し込みください。
こちらをクリックするとメールフォームが開きます。
メールフォームよりお名前とご連絡先などをお知らせ下さい。
折り返し、ご予約の確認メールをお送りいたしす。
http://www.epopee.co.jp/toiawase.shtml
フルコース料理の予約の都合上、12月17日(木)までにお申し込みを何卒よろしくお願いいたします。
会場地図:http://goo.gl/kHwB6H
後援:HINT
http://www.epopee.co.jp/hint/community/library/backnumber/201512.pdf
少し肌寒くなってまいりましたが、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか!
さて、9月末の土曜日「エポペの集い」は、昔からエポペの仕事の後でスタッフミーティングの場としても利用していた韓国料理店で開催いたします。
おいしい料理には定評がありますので、オフ会のイメージで、はじめて来られる方もお気軽に、乞ご期待!
なお、このお店は歌舞伎町の隠れ家的なところでありつつ、スペースがそれなりにありますので、事前予約なしの飛び入り大歓迎です。
エポペに来られたことがない方も安心してお越しください。どなた様でもお待ちしております~♪
第43回 エポペの集い
日時:2015年9月26日(土曜日)
18時から21時頃まで
会費:3,500円程度 場所:「けなり」 TEL:03-5272-1011
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-31-3
(「新宿バッティングセンター」のすぐ近く/バッティングセンターは二つありますのでご注意を!)
地図:http://goo.gl/WxnYTR
いよいよ夏季休暇のシーズンですね。皆さまいかがお過ごしですか!
さて、7月末の土曜日「エポペの集い」は、昔からエポペの仕事の後でスタッフミーティングの場としても利用していた韓国料理店で開催いたします。
暑さを吹き飛ばす、おいしい料理には定評がありますので、オフ会のイメージで、はじめて来られる方もお気軽に、乞ご期待!
なお、このお店は歌舞伎町の隠れ家的なところでありつつ、スペースがそれなりにありますので、事前予約なしの飛び入り大歓迎です。
エポペに来られたことがない方も安心してお越しください。どなた様でもお待ちしております~♪
第42回 エポペの集い
日時:2015年7月25日(土曜日)
18時から21時頃まで
会費:3,500円程度 場所:「けなり」 TEL:03-5272-1011
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-31-3
(「新宿バッティングセンター」のすぐ近く/バッティングセンターは二つありますのでご注意を!)
地図:http://goo.gl/WxnYTR